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Ladies and Gentlemen dream
世界と宇宙の綻びの真ん中で
「彼女が欲しい」
といつもため息ばかりついている男。天文学と宇宙言語学を勉強している。
面白くもない研究ばかりしていて女の口説き方といった役に立つ本を読んだことがないララは、全然モテないのも無理はなかった。

しかし、絶望して自殺してしまうほどバカでもない。

地球にいないなら地球以外に女はいるだろうと、現に1つ目は上空1万メートルに漂う『空の監獄』“スカイプリズン”。辺りには竜巻が頻繁に発生し・・・人肉が好物の怪鳥が飛び回る、まさに脱出不可能な空中刑務所が存在するのだ。

ララはお手のものの装置を使って、ひとわたり宇宙へ電文をばらまいた。
「だれか、交際してくれる女性はいませんか」

巨大アンテナから出された超電波は、空間のかなたにこのように飛び去っていった。
「誰か返信くれないかな。どこかの星には絶対美人でかわい子ちゃんがいるにちがいない」

ララは恵まれていた。どこかの星から返信電波が送信されて来たのだ。

「初めまして。ナマエと申します。私みたいな女が返信してもよろしいでしょうか?さびしく悩んでいると聞いて、我慢できなくなってしまいました 」

ララはいっぺんにのぼせあがり、夢中になって電波を返した。愛の交信ははじまった。

「ナマエさん。返事くれてありがとう。地球という俺の星の女性は、誰ひとり私の相手になってくれないんだ」

「ええ!!ひどい。とても考えられないことですわ」
と、ナマエの返事は、優しさに溢れ出ていた。ララはめろめろになり、こう言わずにはいられなかった。

「じゃあさ。あなたのような方からお返事がいただけてとても嬉しいです。一度で良いからあなたの顔が見たい。ぜひテレビに画像を送ってくれねーか」

ララは期待していた。でももし頭が、くぱっとオープン・ザ・ドアしたら。
そこが問題だ・・・触手の怪物とかだったら俺どうしよう・・・。愛情が持てるのだろうか。悩みの種類は昔からのものとたいして変わっていない。しかし、悩みの程度はとても大きかった。といっても、いまさらひく気にはならなかった。
(出来れば人間型の綺麗な女性でありますように!!)

そして、目を開いた。

ナマエは地球の女性より、はりかに美しい。輝くように白い肌、情感をたたえた目、やさしくほほえみかけた口。天使だった。
彼女は、ピンク色の犬のような動物を抱いていた。

ララはどもりながら、呼びかけた。

「まったくもって美しい。でもテレビではあなたに触れられないことに涙が出てくる」
ララは思わず、悔し涙をこぼす。だが、ナマエはやさしくやさしくなぐさめてくれた。

「嬉しい。会いに行ってもいいかな? 私の星には性能の良い宇宙船があるんです」
「本当かよ! 夢じゃないのかな。待っている!」

ララはその日からルンルンで過ごした。ああ、やっとビオトープ0のやつらに自慢できる、そして地球の女どもを見返してやることができる。そして約束に日。

朝早くから約束した場所で待ち続けていた。ララに彼女かよ!とからかう輩。
野次馬共も何人かついてきた。

「本当に来るんか」
とララがつぶやきかけたとき、巨大な宇宙船が静かに舞い降りて来た。
でかい! あれはきっと彼女の宇宙船だ!!
まもなくあこがれの人に会える。
やがて、宇宙船のドアが開いた。

おお! ハッチが開いて影が見えた!彼女、俺よりも大きそうだな!OKだ! 
俺はちょっと背が高い女性のほうが好....
「彼女は、ピンク色のオバーを着ていたらしい」

違った。オバーじゃなくて彼女のペットの犬だった。

なんか嫌な予感がする。たちまち現実となって現れた。

ララの何十倍もあるその麗しい君は、地響きをたてて地面に降り立ち、
「ナマエを待っていてくださったかたは」

という声をあたりにとどろかせた。
          


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あきゅろす。
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